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OMOとは?注目の理由とO2Oやオムニチャネルとの違いを徹底解説!

OMOとは、オンラインとオフラインを融合してユーザーの顧客体験を向上させるマーケティング手法のことです。

O2Oやオムニチャネルといったインターネットとユーザーをつなぐマーケティング戦略は周知されてきましたが、OMOはさらにユーザーの顧客満足度(顧客の価値観)を重視した施策になり、O2Oやオムニチャネルからさらに一歩進んだマーケティング手法といえます。

実際にOMOに基づいてビジネスを行うにはどこから行動したらいいのか、重視することでどんなメリットがあるのか、何が必要なのかをしっかりと理解している方は少ないのではないでしょうか。

本記事ではOMOとはそもそも何なのか、具体的な施策はどういったものがあるのか、またO2Oとオムニチャネルとの違いについても詳しく解説します。

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更新:
2023年06月12日

COLUMN INDEX

OMOとは?顧客体験を重視したマーケティングの考え方

OMOとは

「OMO」とはOnline Merges with Offlineの略称で、直訳すると「オンラインとオフラインを融合する」という意味になります。

OMOはオンラインとオフラインを区別せず、つまりネットと実店舗の区別をせずに、ユーザーの顧客体験(=UX)を重視して購買意欲を促すマーケティング手法のことをいいます。

UXとは?
UXはUser eXperience(ユーザーエクスペリエンス)の略称で、ユーザーが商品やサービスの購入・利用を通して得られる印象や体験・感動のことをいいます。

現代ではスマートフォンの普及によりインターネットがとても身近なものになっているため、常にユーザーはオンラインで何かと繋がったり、商品のレビューを受け取っているのが現状です。

OMOのようにオンラインとオフラインを融合させ、境界線を感じさせないマーケティング施策を行うことが重要になっています。

またユーザーは商品の品質や用途だけではなく、どういった方法で商品を手に入れたか、手に入れるためにどんな体験をしたかといった付加価値を重要視するようになりました。

商品を消費目的だけで求めるのではなく、自身の満足と体験の享受に価値を感じるようになっているため、よりユーザー体験に着眼して充実したサービスの提供を行っているところが購入やサービスの選択に繋がります

OMO普及の背景と具体的な施策例

また混同しやすいO2Oやオムニチャネルとの違いについても解説しています。

O2Oやオムニチャネルとの違いを知っておこう

「OMO」と「O2O」・「オムニチャネル」は、どれもオンラインとオフラインに関わるマーケティング手法のことをさしているため、なかなか違いを理解しづらいですが、できるだけわかりやすく解説しているので上記で確認してみてくださいね。

OMOの具体的な施策例

OMOとはネットと実店舗の区別をせず、ユーザーの顧客体験を重視して購買意欲を促すマーケティング手法であると解説しましたが、実際にはどのような施策が行われているのか想像しづらいかと思います。

代表的な施策としては以下のとおりで、いくつかは聞いたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。

OMOの具体的な施策例

それではまず、チャットボットの例から解説していきますね。

チャットボット

「チャットボット」はおしゃべりするという意味のチャット(Chat)と、ロボットを意味するボット(bot)を合わせた単語で、AI(人工知能)を利用した自動会話プログラムのことをさします。

通信サービスや商品など、何かしらのサービスを検討している際に、画面の端に「自動チャット受付中」のアイコンをみたことがあるのではないでしょうか?

サービスに関するよくある質問をAIに学習させ、ユーザーの質問に自動で返答するチャットボットを設置しておくことで、ユーザーは対人間ではないため気軽に時間を気にせずいつでも相談でき、企業側もユーザーが疑問に思っていることをスムーズに解決できるという点がメリットです。

OMOでの例としては、実店舗にいながらオンラインの情報をチェックでき、おすすめの情報も得ることができるため、隅々までサービスが行き届いていると感じ、満足度が高まると予測が可能です。

モバイルオーダー

「モバイルオーダー」はモバイル端末を用いて注文と決済を行う方法になります。

実店舗で注文と決済を行う必要がなく手間が省けるため、行列の解消やスムーズな手続きが可能です。

モバイルオーダーは注文から受け取りまでの手間を事前にネットで行うことでスムーズに行うことができること、かつオンラインで注文しつつも実店舗へ足を運ぶことになるため実店舗への集客も可能です。

さらにオンラインで注文する際にその時期のおすすめ商品やキャンペーン、チェックしている商品から導き出したレコメンド商品を表示することで、合わせ購入の可能性も高まり売上の向上も見込めます。

ユーザーの方もオンラインでじっくり注文ができるため、検討していた商品以外の新しい発見があったり、実店舗で他のユーザーを待たせないように急いで注文する場合と違い自分のペースで手続きできる点が魅力といえるでしょう。

結果的に企業にもメリットがあり、ユーザーにも満足度の向上が見込めるサービスといえます。

デジタルサイネージ

「デジタルサイネージ」は映像や音を流すことができる電子看板のことをいいます。

定期的に表示内容が変化したり、映像が流れることで通常の看板やポスターよりも多くの情報量を発信することができ、また筐体があれば手軽に配信内容を変えられる点が特徴です。

身近なデジタルサイネージの例としては、商品ではなく液晶が搭載されている自動販売機があげられます。

通常時は時間や気温・季節に応じた天気予報や広告動画を流していて、ユーザーが自動販売機の前に立つとカメラなどセンサーが反応し、ユーザーに応じたおすすめの商品をピックアップしてくれるシステムは見たことがある方が多いのではないでしょうか。

デジタルサイネージ型の自動販売機はユーザーに応じたおすすめ商品の紹介だけでなく、売り切れになった商品を表示しないなど売上機会の損失を防ぐ機能もあり、またユーザーにも新しい商品がレコメンドされるため新しい発見もあります。

実店舗やその場での購入に役立てたり、その場を離れてからも広告効果を持続させることができるサービスのひとつとしてデジタルサイネージがあげられ、OMOの施策として有用といえるでしょう。

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【実例5選】国内外のOMOの実際の成功事例

OMOについて言葉で意味やメリットを解説してきましたが、OMOは現時点で広く普及している概念であるとはいえないため、まだ曖昧に感じている方も多いかもしれません。

マーケティングを行う際に他社の実例を参考にして、自社のビジネス状況と比較して展開を検討することは多くあるため、ここでは国内・海外のOMOの成功例をご紹介します。

実際の実例をみて、OMO施策の検討材料にしてみてくださいね。

国内外のOMOの実際の成功事例

それではまず海外の実例からみていきましょう。

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【海外】Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)|アプリ注文で店頭支払い不要

ラッキンコーヒー
引用:Luckin Coffee(ラッキンコーヒー)

まず紹介するのは中国で展開しているコーヒーチェーンである「Luckin Coffee(瑞幸咖啡|ラッキンコーヒー)」です。

ラッキンコーヒーはオンラインで注文と決済を行い、実店舗では商品のピックアップとデリバリーのみ対応しているため、実店舗で注文から決済・受け取りまでを行うことによる待ち時間の短縮と、隙間時間で注文を完了できることでの利便性の高さが最大の特徴といえます。

ラッキンコーヒーはユーザーのストレスフリーでスムーズな取引というニーズに対応した形でOMOを実践したため人気を博しました。

オンラインとオフラインの垣根をなくし、ユーザーはオンラインで注文し実店舗(オフライン)で受け取る流れを違和感なくこなし、このスタイルがストレスなく希望する商品(コーヒー)を受け取って取引を終えたという顧客体験の満足に繋がっています。

【海外】Amazon Go|無人決済で待機列なし・顧客行動のデータも収集

Amazon Go
引用:Amazon Go

続いて紹介するのは無人決済で話題になった「Amazon Go」です。

Amazon GoはAmazon.comが運営している店舗で、ユーザーはAmazon Goアプリを利用してストアに入ることでレジに並ばずに決済が可能になるため、希望する商品を手にとって、そのまま店舗を出るだけで勝手に決済がされる無人の店舗になります。

アプリを利用するだけで決済のためにレジに並ぶこともなく、自身でバーコードを読み取るなどの手間も不要のため、オンラインアプリと実店舗をうまく融合させたOMO施策の有名な実例と言えるでしょう。

日本でもAmazon Goのシステムに近い「TTG-SENSE」などのサービスが展開されています。

【国内】Zoff|オンラインと実店舗の連携・来店不要で購入可能

zof
引用:Zoff

次は国内の事例としてメガネを販売している「Zoff」を紹介します。

Zoffは2018年にECサイトをリニューアルしましたが、リニューアルに伴いシステムを大改修し、実店舗とECサイトを綿密に連携できるようにしたのが特徴です。

実店舗とZoffオンラインストアで購入履歴と度数情報(処方値)をデータ連携をしているため、オンラインストアで会員登録またはログインを行うと店舗で購入した度数情報でメガネの購入ができます。

また事前に実店舗で度数を計測していない場合でも、オンラインストアでメガネフレームをレンズ交換券つきで購入したあと、実店舗へ行き度付きのメガネに交換するという方法や、手持ちのメガネと同じ度数で購入することも可能です。

オンラインと実店舗の垣根がほぼなく、シームレスな取引が可能な点が特徴です。

【国内】株式会社オンワード樫山|ネットで身体データからのフィッティングや実店舗での試着が可能

引用:株式会社オンワード樫山

続いて国内の事例として「株式会社オンワード樫山」をご紹介します。

株式会社オンワード樫山はアパレルを取り扱う企業ですが、

  • バーチャサイズというこれまでの購入履歴に基づいて過去に購入したアイテムと検討しているアイテムのサイズ比較が表示
  • 自分の体のボディシルエットを作成してネット上で試着することができる機能
  • がある点が特徴です。

    株式会社オンワード樫山
    引用:株式会社オンワード樫山

    また店舗試着(クリック&トライ)サービスもあり、商品で「店舗試着」のボタンが表示されている商品であれば、実店舗で試着して購入を検討することもできます。

    オンラインから試着予約や接客を受けることができるため、スタイリストと相談したいから実店舗に行かなければならないなど、オンラインと実店舗を分けて考えなくてもさまざまなサービスがシームレスに受けられる点がポイントといえます。

    【国内】株式会社ZOZO|ネットで実店舗在庫確認や取り置き可能・連携による購入機会損失の軽減

    引用:ZOZO

    最後に紹介するのは国内でファッション系のネットショッピングモールであるZOZOTOWNを展開している「株式会社ZOZO」です。

    ZOZOMOにより、以下の3つのサービスが利用可能です。

    1. ZOZOTOWN上での「ブランド実店舗の在庫確認・在庫取り置き」

    2. ショップスタッフの販売サポートツール「FAANS」

    3. ブランド自社ECとZOZOTOWNの在庫シェアリング「Fulfillment by ZOZO」

    ZOZOTOWN上でブランド実店舗の在庫確認と取り置きができることで、ZOZOTOWN内での購入だけでなくブランド実店舗への集客と、取り置き商品を購入する際に実店舗にある別商品とのあわせ買いが期待できます。

    通常のECモール(Amazon、楽天市場など)はネット上で在庫がない場合は予約ができる場合を除き購入できず、また在庫があってもオンライン上で購入する以外の選択肢はありませんでしたが、ZOZOMOによってECモールから実店舗への集客が可能になり、よりオンライとオフラインの垣根を無くしたサービス展開が可能です。

    次にショップスタッフの販売サポートツールである「FAANS」の提供についてですが、ZOZOTOWN内で実店舗へ商品の取り置きを依頼したユーザーの対応を、ショップスタッフがFAANS上で対応・完結できる機能が備わっています。

    最後にブランドの自社ECサイトとZOZOTOWNの在庫シェアリング「Fulfillment by ZOZO」は、自社ECサイトとZOZOTOWNの在庫を一元管理することで欠品になる可能性を最小化することができます。

    さらに物流機能を代行できるZOZOBASEのサービスもあるため、販路拡大のための倉庫拡張や物流の再検討にコストが最小限で済む点もメリットといえるでしょう。

    上記のように株式会社ZOZOはあらゆるサービスを開始することでOMOを推進し、よりオンラインと実店舗の垣根を無くしたシームレスな顧客体験の向上を目指しています。

    O2Oやオムニチャネルとは何が違う?

    「OMO」について概要を解説してきましたが、似ている単語として「O2O」「オムニチャネル」を想像した方もいらっしゃるのではないでしょうか。

    OMOとO2O・オムニチャネルは同じ意味をもつ単語ではなく、明確に違った意味をもつ単語なため、それぞれの違いをわかりやすく解説していきますね。

    O2Oやオムニチャネルとの違い

    それではまず、O2Oとの違いについてからみていきましょう。

    「O2O」とは?オンラインから実店舗(オフライン)への送客を目的とする

    o2oとは?

    「O2O」とはOnline to Offlineの頭文字をとった用語で、オンラインから実店舗への送客を目的とするマーケティング手法のことをいいます。

    オンラインでクーポンを配ったり、セール情報を告知するなどできっかけを作ることで、実店舗へユーザーを誘導するための戦略です。

  • 近隣にある実店舗のセール情報をプッシュ通知で配信
  • メールマガジンやアプリを登録することで実店舗で使えるクーポンやポイントを付与
  • オンラインをきっかけに実店舗(オフライン)へユーザーを誘導
  • が特徴といえます。

    OMOの場合はオンラインとオフラインを区別せず、ユーザー体験を重視するマーケティング手法になるため、オンラインでの施策をきっかけに実店舗へ集客を促すO2Oとは明確に意味が異なる点に注意が必要です。

    O2OとOMOの違い
    • O2Oはオンラインから実店舗(オフライン)への送客を目的とするマーケティング手法

    • OMOは一方的ではなく、オンラインとオフラインの区別なくユーザーの顧客体験の向上を目指す点で意味合いが異なる

    「オムニチャネル」とは?さまざまなチャネルを複合して集客を行うこと

    O2Oとオムニチャネルの違い

    「オムニチャネル」とはオンライン・オフライン・SNS・電話注文・カタログなど、さまざまなチャネル(媒体)を連動させて、ユーザーがあらゆる手段で関わりやすくするマーケティング手法のことをいいます。

    オムニ(omni)という単語が「すべての」「総〜」といった意味をもち、あらゆる媒体を連動させることでユーザーデータを集約・分析できるようになる点も特徴、どんな経路からユーザーがアクセスしているのか、何を購入しているのかを共有できます。

    オムニチャネルは、あらゆるチャネルでの情報を共有することでの利点も重視していて、あくまでも企業目線で行う施策になるため、OMOのようにユーザー体験を重視する手法とは違いがあります

    OMOではオムニチャネルのようにユーザーの購入経路拡大と情報共有に重点をおくのではなく、購入までに至るユーザー体験や、購入した後のフォローもすべて含めた体験の満足度を重視・向上させるものと認識するといいですね。

    オムニチャネルとOMOの違い
    • オムニチャネルはオンライン・オフライン・SNS・電話注文・カタログなどユーザーがあらゆる手段で関わりやすくするマーケティング手法のこと

    • OMOは複数チャネルを連携する点は似ているものの、オムニチャネルは企業主体の施策、OMOはユーザーの顧客行動の向上を目的(ユーザー主体)としている点が異なる

    OMOを導入するとどんなメリットがある?

    アイコン

    OMOの意味やO2O・オムニチャネルとの違いについて解説してきましたが、実際にOMOを導入するとどのようなメリットがあるのかみていきましょう。

    OMOはオンラインとオフラインの垣根をなくし、ユーザーの顧客体験を重視したマーケティング手法であると意味は理解していても、導入した場合の具体的なメリットが曖昧だと実践することは困難です。

    以下にOMOを導入するメリットを3つご紹介するので、チェックして導入の検討材料にしてみてくださいね。

    OMOを導入するメリット

    それではメリットをひとつずつみていきましょう。

    顧客体験の向上により企業価値の向上や売上の拡大が期待できる

    OMOを導入するメリットとしてあげられるのは、顧客体験の向上によって企業価値の向上や、売上の拡大が期待できるという点です。

    ユーザーは商品の価値だけでなく、商品を手に入れるまでの体験・手に入れた後のアフターサービスまで含めてトータルの行動体験に価値を見出しています。

    商品をリピート購入してくれたりレビューが増えると売上拡大や企業価値の向上につながる可能性があるため、今後のビジネスの成長を目標とするならOMOは検討すべき施策といえるでしょう。

    商品を値下げしたりキャンペーンを行うことでの売上アップではなく、商品やサービスを購入・利用に関わる体験の価値を向上させることで、中長期的にみた成長を目的としているため、短期的な売上アップを目的とした施策とは異なります。

    顧客のデータを収集でき商品開発やサービス向上に役立てられる

    OMOではオンラインとオフラインを区別せず管理するため、顧客の購入データや興味のある分野のデータを収集できる点もメリットです。

    オンラインとオフラインを連携させるためには顧客データを別々に管理しているとビジネス進捗の遅れや、顧客対応に不具合が生じる可能性があります。

    そのためOMOを推進するには大前提として顧客データを一元管理する必要があり、必然的にどのチャネルからユーザーのアクセスがあったとしても区別せず一括で管理が可能になります。

    OMOを進めることで得られる顧客データは、今後の商品開発やサービス向上のための大切なデータになるため、企業にとってのビジネス成長にも、ユーザーにとってのより良いサービス提供にも役立つといえますよ。

    機会損失につながる可能性を低くできる

    OMOを導入することで、機会損失につながる可能性を低くすることが可能です。

    オンラインとオフラインで区別がついてしまっていて(連携されていない)以下のような状況が発生している場合だと、ユーザーは壁を感じてしまい購入に繋がらない可能性があります。

    • 希望する商品が実店舗またはオンラインのどちらかでしか買えない

    • 実店舗とオンラインのポイントが共有されていない

    希望する商品が実店舗にはなくオンラインでしか購入ができない場合には、オンラインでポイントを利用し商品を購入するというユーザーが望んだ形での利用ができなくなってしまい、高い確率でサービスから離脱してしまうため、オンラインとオフラインの区別をつけず、連携されていることがより重要になります。

    このようにオンラインとオフラインの連携がされておらず機会損失が発生しているなら、ユーザーが購入を検討してから実際に購入に至るまでの道のりがスムーズになり、機会損失の可能性が低下するOMOの導入がおすすめですよ。

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    OMOを導入するには条件を満たす必要がある

    アイコン

    OMOを導入するとさまざまなメリットがあると解説しましたが、実際にOMOを導入するにはおもに4つの条件を満たしている必要があります

    OMOはオンラインとオフラインの区別をなくすことが前提のマーケティング施策のため、オンラインと実店舗など複数の領域を連携させる必要があり、一朝一夕に開始できるものではないため、以下の条件をチェックして準備に取り掛かりましょう。

    OMOを導入するための条件

    それではOMOを実践する際に必要な条件について、ひとつずつみていきましょう。

    販売チャネルをマルチ化する

    まずOMOを実践するには、実店舗しかない場合やオンラインの店舗しかない場合に、ユーザーが触れる機会を増やすためと、オンラインとオフラインの区別のない顧客体験を提供するために、マルチチャネル化することが必要になります。

    OMOの前にO2Oやオムニチャネルに取り組んでいた場合にはマルチチャネルの運営基盤は整っているかと思いますが、これから行おうと考えている場合には複数の販売チャネルを展開することが必要です。

    販売チャネルをマルチ化しあらゆるチャネルの情報を一元管理することで、ユーザーがどんな商品に興味を持っているか、どの商品を購入し一緒に購入している商品はあるのかなどデータを収集できるため、データを分析してよりユーザーに満足してもらえるようなサービス展開が可能になります。

    システムを整備する

    OMOはオンラインとオフラインの区別をなくし、データを一元管理して収集・分析しながらユーザーの顧客体験の向上を目指すマーケティング手法のため、データベースの構築やチャネルごとのデータ収集などあらゆるシステムの整備が必要です。

    システムを整備する際には現時点で必要なシステムだけでなく、今後想定するビジネス規模にあわせて整備を行うことが重要です。

    現時点の規模に適したシステムを整備し完結してしまうと、さらに事業規模を拡大した際に改めてカスタマイズを行う必要があり、状況によっては高額な費用と大きなシステム改修が必要になる可能性もあります。

    これからシステム整備を行うなら、ビジネス展開をあらかじめ想定して、今後のビジネス規模にあったシステム整備を行うよう心がけましょう。

    データベースの構築と連携

    OMOではユーザーがどんな商品を購入したかや、ニーズを把握するために、商品購入のデータや、顧客データなどを管理・分析することが重要になります。

    データを管理するためにはデータベースの構築と、各チャネルとの連携が必要です。

    商品の購入データやユーザーが興味を持った商品のデータだけでなくあらゆるデータを収集しておくことで、新たな顧客満足に繋がるサービス対応に繋がるアイデアとなる可能性もあるため、あらゆるチャネルのデータを管理できるデータベースを構築しておきましょう。

    データ分析や管理ができる人材

    OMOを実践するにはシステムの整備やデータベースの構築が必須ですが、整備するだけでなく分析や運用ができる人材が必要です。

    ただ人材を割り当てるだけでなく、各チャネルの状況を把握できている担当者である必要があります。

    必要になると考えられるおもな知識は以下のとおりで、これらに精通する人材となるとそれぞれの分野の経験をもつ人材の複数雇用も検討が必要でしょう。

    • ICTの知識

    • オンラインショップやスマホアプリでの販売に必要なマーケティング知識

    • データの収集・分析から課題や提案を見つけ企画できる能力

    • 異なる分野の担当者と話し合いを行える調整力・対話力

    • 企業目線ではなくユーザーの目線でニーズを分析できる能力
      など

    もちろん上記以外の知識も必要になる場合もあり、データだけを分析するのではなく実際にユーザーの目線に立ってニーズや課題を解決できるよう幅広い目線で物事を見ることができる担当者が理想といえます。

    OMOの導入前に知っておきたい注意点

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    OMOについてメリットやポイント・実例を紹介してきましたが、実際に施策に取り掛かる前に知っておいてほしい注意点があるためご紹介します。

    OMOの導入前に知っておきたい注意点

    それではひとつずつみていきましょう。

    運用体制を整えるためにコストがかかる

    OMOは導入を検討している段階で複数のチャネルが連携していない場合や、体制が整っていない場合、運用体制を整えるためにコストと時間が必要になります。

    オンラインとオフラインを区別なく連携するために、各チャネルのデータ連携もする必要があるため、ビジネスの規模にもよりますがある程度のコストを見積もっておくことが大切です。

    構築したいビジネスモデルにもよってしまいますが、OMOの運用体制を整えるためにはある程度の費用は必要になるため、見切り発車で始めるのではなくしっかりと社内で企画し、段階を踏んで施策を進めましょう。

    導入してもすぐに効果は出ない

    OMOのマーケティング施策は、システム構築や運用体制の整備などを経て導入が完了しても、目的が顧客満足度の向上であるため、導入してすぐに売上アップにつながるわけではない点にも注意が必要です。

    中長期的にみて企業価値の向上や、ユーザーの満足度アップからのリピート購入・口コミによる売上の向上が見込めます。

    そのため、早めに効果を実感したい場合やどんどん集客をして効果を検証したい場合には、OMO施策を導入したら広告やプレスリリースを打つなど、あわせて告知する対策も検討するといいでしょう。

    OMOについてよくある質問

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    OMOについて、よくある質問を集めてみました。

    OMOとは?

    「OMO」とはOnline Merges with Offlineの略称で、オンラインとオフラインを区別せず(ネットと実店舗の区別をしない)、ユーザーの顧客体験(UX)を重視するマーケティング手法のことです。

    OMOについてのくわしい解説は「OMOとは?顧客体験を重視したマーケティングの考え方」の項目で紹介しているのでチェックしてみてくださいね。

    O2Oとは何が違う?

    O2OはOnline to Offlineの頭文字をとった用語で、オンラインから実店舗への送客を目的とするマーケティング手法のことをいい、OMOのようにオンラインとオフラインを区別せずユーザー体験を重視するマーケティング手法とは異なる点が特徴です。

    OMOのように実店舗からオンラインへの集客、オンラインから実店舗への集客と垣根なく扱う訳ではない点が違うと覚えておきましょう。

    なおO2Oについては「「O2O」とは?オンラインから実店舗(オフライン)への送客を目的とする」の項目で解説しているのでチェックしてみてくださいね。

    オムニチャネルとは何が違う?

    「オムニチャネル」とは複数のチャネルを連携させるマーケティング手法のことです。

    複数のチャネルと連携させるという点ではOMOと似た施策と思えますが、オムニチャネルはあくまでも企業目線で行う施策になるため、OMOのようにユーザー体験を重視する手法とは違いがある点を覚えておきましょう。

    ただ、オムニチャネルでは複数のチャネルを連携させることでユーザーがアクセスできる媒体を増やし、総じて集客の増加や顧客データの収集・分析を可能にする施策になるため、大元の考え方はOMOと似ています。

    OMOはここからユーザーの顧客体験の向上を目的として、価値あるサービスを提供するために施策を行うため、顧客データを収集・分析するためといったオムニチャネルとは明確に違いがあります。

    なおオムニチャネルについては「「オムニチャネル」とは?さまざまなチャネルを複合して集客を行うこと」の項目で詳しく解説しているのでチェックしてみてくださいね。

    OMOを導入するとどんなメリットがある?

    OMOを導入するメリット

    OMOを導入すると、ユーザーの顧客体験の向上により売上拡大や企業価値が高まったり、データ連携によって情報分析が可能になったりなど、さまざまなメリットがあります。

    またOMOを導入するにはオンラインとオフラインの垣根をなくす必要があり、そのために顧客データなどを一元管理できるシステムを構築する必要があります。

    システムを整備することはコストも時間もかかりますが、整備することで顧客のデータを収集・分析することが可能になり、ユーザーが何を購入しているのか、気になっている商品は何か、どんな行動をしているか、といったことからより興味のあるレコメンドが可能になったり、商品展開に反映できる分析結果を得ることができる点がメリットです。

    さらにあらゆるチャネルを連携することによって、ユーザーも購入につながる経路を選択しやすく、店舗で貯めたポイントを利用してオンラインで買い物をするなど希望する方法で購入活動を行いやすくなる点も魅力といえるでしょう。

    まとめ

    「OMO」はOnline Merges with Offlineの略で、オンラインとオフライン(実店舗)を区別せず、ユーザーの顧客体験(UX)を重視するマーケティング手法のことをいいます。

    似たような用語として「O2O」や「オムニチャネル」がありますが、どちらもOMOとは異なる意味をもつため、違いを理解して使い分けをしましょう。

    O2Oやオムニチャネルとの違い

    またOMOはユーザーの顧客体験の向上を目的としているため、導入した場合以下のようなメリットが得られます。

    OMOを導入するメリット

    企業価値の向上などメリットが大きいためぜひ導入したい施策ですが、導入するためには以下の条件を満たす必要があるため注意しましょう。

    OMOを導入するための条件

    ただ、OMOについて文字で解説を読んでいてもOMOとは実際にどういった施策なのかわかりづらいと思います。

    以下に国内外のOMO施策の実例を5つ紹介しているので参考にしてみてくださいね。

    国内外のOMOの実際の成功事例

    なおOMOを導入する際には知っておきたい注意点もあるため、あわせて紹介します。

    OMOの導入前に知っておきたい注意点

    OMOは今後普及していくマーケティング手法と考えられるため、概念や実例をチェックし、自身のビジネスのプラスになるよう検討してみてくださいね。

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    参考サイト

  • Luckin Coffee
  • Amazon Go
  • Zoff
  • 株式会社オンワード樫山
  • ZOZO
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    この記事の監修・著者情報

    • マイナビD2C 佐藤

      約10年ほどメンズ・キッズのアパレルSPA~小売の販売~MD及びバイイングを従事。その後、フリーランスでWebマーケティング、EC運営、メディア運営や事業企画を経験した後、BtoBマーケティング支援企業に入社。クライアントのEC、サービスのSNSやSEOなどを提案し運用改善する。2022年11月より現職。

    • マイナビD2C 橋元

      2007年マイナビ入社。マイナビウーマンで副編集長を経験し、2018年よりkurassoのメディアに携わる。2019年よりkurassoでECサイトを立上げ、1年目で1.5億の売上を出すECサイトに成長させた。現在はkurassoの事業責任者を務めている。

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