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EDIとは何か?業務効率化の仕組みと導入メリットを解説
- 更新:
- 2025年09月18日
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EDIとは、企業間で受発注や請求といった取引データを電子的に交換する仕組みのことです。国内でも中小企業を含めてEDIの導入が広がり、商取引のデジタル化が急速に進んでいます。この記事では、EDIの基本知識から仕組み・種類・導入メリットや注意点までをご紹介していきます。
EDIとは何か?基本の理解
EDIの定義と役割
EDIは「Electronic Data Interchange」の略称で、日本語では「電子データ交換」と呼ばれます。従来、企業間の受発注や請求は、電話・FAX・郵送など人手を介して行われていました。しかしこうした方法は、時間がかかり、記入ミスや伝達ミスの原因にもなっていました。EDIは、こうした取引データを標準化した電子形式でやり取りする仕組みを指し、情報のやり取りを自動化することで業務効率化を実現します。
企業がEDIを導入すると、紙の伝票を起こす必要がなくなり、データ入力の二度手間も解消されます。また、取引先との間で取引情報を迅速かつ正確に交換できるようになり、結果として社内業務の最適化や経営判断のスピード向上にもつながります。現在、日本国内では大企業だけでなく中小企業にも利用が広がっており、業種を問わず「取引の効率化」を求める場面で役立つ仕組みといえます。
EDIでやり取りされる代表的な取引
EDIで扱われるデータは幅広く、代表的なものに以下が挙げられます。
- 受発注データ:製造業や卸売業では日常的にやり取りされるデータです。注文書や納品書を電子化することで処理が大幅に効率化します。
- 出荷指示・配送依頼:物流業界では、出荷情報をEDIで伝達することにより、配送業者との連携がスムーズになります。
- 請求書や支払通知:金融取引や会計処理においてもEDIが使われ、伝票のやり取りを自動化できます。
- 在庫情報の共有:小売業やメーカーでは、在庫データをEDIで交換することで、適正在庫の維持や欠品防止につなげています。
このように、EDIは単なる情報伝達ツールではなく、商取引の一連の流れを効率化する基盤としての役割を担っています。
EDIの仕組みと特徴
EDIの通信プロセス
EDIは、共通の通信規格を用いてデータを送受信する仕組みです。まず、送信側のシステムで注文書や請求書などのデータを電子化し、規格に沿った形式に変換します。次に、通信ネットワークを介して取引先へ送信され、受信側はそのデータを自社システムで処理できる形に変換して取り込みます。
重要なのは「標準化された形式」を用いる点です。これにより、異なる企業のシステム同士でもやり取りが可能となります。EDIを導入することで、データ入力や紙ベースでのやり取りが不要となり、スピーディかつ正確な情報交換が実現します。
EDIとAPIの違い
近年はEDIと並んでAPI(アプリケーション・プログラミング・インターフェース)によるデータ連携も注目されています。EDIとAPIの違いを整理すると次のようになります。
- EDI:規格化されたデータを通信回線でやり取りする仕組み。大規模取引や業界標準に強みがある。
- API:システム同士を直接つなぎ、データをリアルタイムで交換できる仕組み。柔軟性が高く、クラウドサービスとの連携に適している。
EDIは長年の実績があり、多くの業界で標準として根付いています。一方で、APIは近年のクラウド化やDXの流れで普及が進んでおり、両者を組み合わせて活用するケースも増加しているようです。
EDIとBtoB ECとの違い
EDIとよく比較されるのが「BtoB EC(企業間電子商取引)」です。どちらも取引の電子化を実現しますが、アプローチに違いがあります。
- EDI:定型的な取引データをシステム間で自動的にやり取りする仕組み。受発注が日常的かつ反復的に発生する業務に向いている。
- BtoB EC:オンライン上のECサイトを介して取引先が商品を発注する仕組み。商品の検索性や新規取引先の開拓に強みを持つ。
EDIは「既存の取引先との反復的な業務を効率化」するのに適しており、BtoB ECは「取引先の拡大や利便性の向上」に役立ちます。近年はBtoBECの中にEDIの機能が組み込まれている例などもあります。両者を補完的に利用することで、企業の商取引全体を最適化できます。
EDI導入に伴うデメリットと課題
システム障害による取引停滞リスク
EDIは取引データを電子的にやり取りする仕組みであるため、システム障害や通信トラブルが発生した場合、業務全体が停滞するリスクがあります。特に、受発注や出荷指示など日常業務の根幹に関わる部分で停止すると、納期遅延や顧客対応の不備といった問題が発生する恐れがあります。そのため、バックアップ体制や冗長化の仕組みを整備しておくことが重要です。
取引先の導入状況に依存
EDIは自社だけで導入しても意味がなく、取引先と共通の環境で利用する必要があります。大企業では既にEDIを活用している場合が多いですが、中小企業では導入が進んでいないケースも存在します。このため、EDIを導入しても、一部の取引先との取引は従来のFAXやメールに依存することが残り、完全な効率化にはつながらない場合があります。取引先への導入支援や、並行利用できる仕組みを整えることが求められます。
導入や運用の教育コスト
EDIシステムの利用には、社内担当者の教育が欠かせません。新しいシステムに不慣れな場合、入力方法やデータの確認作業で混乱が生じ、むしろ業務が一時的に停滞する可能性があります。また、EDI規格の変更や法制度への対応が必要になるたびに、社員教育やマニュアル整備が発生します。こうした教育コストも導入の障壁の一つです。
EDIを導入する際の注意点
電子帳簿保存法への対応
EDIは電子取引に該当するため、電子帳簿保存法の要件を満たす必要があります。保存形式の要件や、訂正・削除の履歴管理、検索機能などが求められるため、法改正に合わせたシステム対応を怠ると、法的なリスクが生じます。導入の際には、法規制に準拠したシステムかどうかを確認し、将来の改正にも柔軟に対応できる仕組みを選ぶことが大切です。
2024年1月1日以降の電子取引データは電子保存が義務です。原則として「取引年月日・金額・取引先」などで検索できる仕組み等が必要ですが、売上高5,000万円以下かつダウンロード要求・紙面提示に応じられる体制があれば、検索要件が不要となる猶予措置があります。
セキュリティ対策の強化
EDIは取引に関わる重要なデータを扱うため、セキュリティ対策が不可欠です。不正アクセスや情報漏洩を防ぐために、通信の暗号化やアクセス制御を導入する必要があります。また、クラウド型のインターネットEDIを利用する場合には、サービス提供者のセキュリティ水準も十分に確認することが求められます。
インターネットEDIではAS2(RFC 4130)等のプロトコルを用い、暗号化・電子署名・受領通知(MDN)で真正性・完全性を担保します。ベンダー選定時は証明書運用やアクセス制御の実装・運用体制も確認しましょう。
将来の規格変更に備えたシステム選定
EDIは国際規格や業界規格の変更に影響を受けるため、長期的に利用することを考えると柔軟に対応できるシステムを選ぶ必要があります。特定のベンダーに依存しすぎると、将来的に規格変更があった際に大きな負担が発生する恐れがあります。そのため、拡張性や互換性を重視したシステム選定が欠かせません。過去には、レガシーEDIに使われたISDN(INSネット)のディジタル通信モードが2024年1月から地域ごとに段階的終了となり、移行対応が全国で発生した例があります。
EDI導入のステップと準備事項
取引先との連携体制の確認
EDI導入を進める前に、まず取引先がどのようなEDI方式を利用しているかを確認する必要があります。複数の取引先が存在する場合、それぞれの要件を把握し、共通の方式で対応できるのか、それとも複数方式を併用するのかを検討することが重要です。事前に取引先と導入方針を擦り合わせておくことで、後々のトラブルを防げます。
データ形式の統一と変換環境の整備
EDIで交換されるデータは標準化されていますが、企業によっては独自のフォーマットを利用している場合があります。そのため、受信データを自社の基幹システムに取り込むための変換機能や、取引先に合わせてデータを変換する仕組みが必要になります。これを整備しないと、せっかくのEDIが現場で活用できない可能性があります。
導入後の運用フロー設計
EDIシステムを導入しても、社内の業務フローと噛み合わなければ効率化の効果は限定的です。導入時には、受発注の流れ、承認手続き、会計処理など、関連する部門ごとに業務フローを再設計し、EDIを前提とした運用体制を確立することが必要です。こうした準備が整ってはじめて、EDIの効果を十分に発揮できます。
まとめ:EDIで業務効率化を実現するために
メリットと課題のバランスを理解する
EDIは、コスト削減や業務効率化、人的ミスの防止といった数多くのメリットを提供します。しかし同時に、システム障害リスクや取引先依存といった課題も存在します。導入を検討する際には、利点だけでなく課題についても把握し、自社に適した導入方法を見極めることが欠かせません。
長期的な視点で導入計画を立てる
EDIの導入は短期的な業務効率化にとどまらず、将来的な規格変更や法規制対応までを見据えた長期的な取り組みが必要です。取引先との連携、社内フローの再設計、システム選定などを段階的に進めることで、持続的に活用できるEDI環境を構築できます。
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