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【ショップ動画付き】TikTokショップとInstagramショッピングの違いとは?運用・UI・成果で徹底比較

更新:
2025年04月25日

COLUMN INDEX

SNS上で商品を販売できるプラットフォームとして、TikTokショップ(TikTok Shop/コマース)とInstagramショッピングが注目されています。

同じソーシャルコマースでも、この二つはユーザー層から機能、運用方法まで様々な違いがあります。マーケティング担当者にとっては「どちらに力を入れるべきか」「両方活用すべきか」を判断するために、それぞれの特徴と成果を把握することが重要です。

本記事ではTikTokとInstagramのショッピング機能を比較し、運用面・UI(ユーザーインターフェース)・UX(ユーザー体験)の違いや、コンバージョンへの影響、マーケティング施策との相性をイギリス版TikTokアプリの動画付きで徹底解説します。

※本記事はグローバル版のサービス情報を基に作成しております。実際の日本でのローンチ内容とは異なる場合がございます。

両プラットフォームの基本仕組みと連携方法

まずはTikTokショップ(TikTok Shop/コマース)とInstagramショッピング、それぞれの基本的な仕組みと外部EC連携方法について確認します。

TikTokショップ(TikTok Shop/コマース)の仕組み

TikTokshop1

キャプチャ元:TikTok イギリス版

TikTokショップは、 TikTokアプリ内にショップ機能を構築できるサービスです。企業や個人はTikTok上に自社商品のカタログを作成し、動画やライブ配信内に商品をタグ付けして販売できます。

ユーザーは気になった商品をその場でタップし、アプリ内で決済まで完了することが可能です​。TikTokアプリ上には出店者のプロフィールにショップタブが表示されたり、動画視聴中にポップアップする商品リンクが表示されたりする形で、エンタメ体験と購買体験が一体化しています。

出店者側の管理ツールとしてはTikTokショップ管理画面(TikTok Seller Center)が提供され、商品登録・在庫管理・受注処理・顧客対応などを行います。特徴的なのは、TikTok独自のレコメンデーションアルゴリズムと連動している点です。商品の露出はユーザーの興味関心に基づいて最適化されるため、フォロワーに限らず幅広い潜在顧客にリーチできます。

Shopify連携

shopify app store-TikTok

キャプチャ元:shopify app store-TikTok

※日本版のストア画面のためTikTokショップなどの文言記載はございません。

TikTokはShopifyなど主要なECプラットフォームとの公式連携を提供しています。例えばShopifyのマーチャント向けアプリを使えば、Shopify上の商品カタログをワンクリックでTikTokと同期可能です。

これにより在庫連動はもちろん、ライブ配信中の在庫引当や注文データの一元管理なども実現できます。Shopify以外にもWooCommerceやBigCommerce向けの連携ソリューションが存在するほか、独自にAPI連携を組むことも可能です。既存のEC基盤を持つ企業であっても、そのデータを活かしながらTikTok上でシームレスに販売を開始できる柔軟性があります。

Instagramショッピングの仕組み

Instagramショッピングは、Instagramアプリ上で商品カタログを表示・販売繋げることができる機能群の総称です。企業アカウント(ビジネスまたはクリエイターアカウント)でInstagramショップを開設すると、プロフィール画面に「ショップ」タブが表示され、掲載した商品を一覧できます。また投稿やストーリーズ、リール動画に商品タグ付けを行い、ユーザーがその投稿から商品詳細ページに遷移できるようになります。

Instagram上の商品の管理は、Facebook(Meta社)のコマースマネージャ(Commerce Manager)を通じて行います。FacebookとInstagramは連動しているため、通常はFacebookページ+Instagramアカウントを用意し、コマースマネージャで商品カタログを作成・アップロードします。

ここに商品名・価格・画像・在庫などを登録すると、承認後にInstagram上でその商品をタグ付けできるようになります。Instagram内にはかつて専用のショップタブが存在しましたが、2023年にホーム画面からショップタブは削除されました。現在では、ユーザーはフィード投稿やリール上のタグ、または企業プロフィールのショップから商品を見る形になります。

Shopify連携

Instagramも外部ECとの連携が可能です。Shopifyをはじめ主要なECプラットフォームはFacebook/Instagram連携機能を持ち、Shopifyの商品データをそのままInstagramショップに同期できます。

設定としては、Shopify側でFacebookチャネルを追加し、Instagramショッピングを有効化することで、Shopifyの商品が自動連携されます。これにより在庫や価格を一元管理できるようになります。

Instagramショップは既存のEC運用と親和性が高く、カタログ管理を一箇所に集約できる点が企業にとって利点です。

支払方法

Instagram上でユーザーは商品を見つけ、ウェブサイトで見るボタンを押すと外部サイト(自社ECサイト)に遷移します。そこで支払いが行われます。

購入導線とアプリ内完結性の違い

次に、ユーザーが商品を見つけて購入に至るまでの導線(カスタマージャーニー)の違いを比較します。TikTokショップとInstagramショッピングでは、ユーザーの購買フローにいくつか異なる特徴があります。

TikTokショップのユーザー購入導線

キャプチャ元:TikTok イギリス版

1.発見

TikTokユーザーはおすすめフィードやフォロー中フィードで動画を視聴中に、偶然流れてきた商品紹介動画やライブ配信に出会います。ここで商品に興味を持つきっかけが生まれます。

TikTokの特徴は、この発見フェーズが非常に自然であることです。アルゴリズムがユーザーごとの趣味嗜好に合いそうな商品を含む動画をレコメンドしてくれるため、ユーザー自身が商品を探していなくても購買意欲が刺激される点がポイントです​。

2.検討

動画内に気になる商品が紹介されていた場合、ユーザーは動画上の商品リンクやショッピングカートアイコンをタップします。すると画面上にその商品の詳細情報(名前、価格、画像、説明、レビュー等)がオーバーレイ表示されます。

動画視聴を中断することなく、画面下部などに商品ページがスライドアップ表示されるUIはTikTok独自の工夫で、ユーザーにシームレスな体験を提供します。必要に応じてそのまま「今すぐ購入」ボタンを押すことで購入手続きに進みます。

3.購入手続き

ユーザーが購入を決めたら、配送先住所や支払い情報の入力画面になります。TikTokショップ対応国ではここもアプリ内で完結し、ユーザーはクレジットカード等を登録してTikTok上で支払いを完了できます。

初回のみ情報登録が必要ですが、一度入力すれば次回以降はスムーズです。購入確定後は注文番号や追跡情報がTikTokアプリ内で確認でき、通知も届きます。

4.購入後

ユーザーはアプリ内の「注文履歴」から配送状況を確認したり、届いた商品に対してレビューを残したりできます。購入体験全体がTikTokから出ることなく完了するため、そのまままた別の動画視聴に戻ることもでき、エンタメと購買が連続した体験となります。

以上のように、TikTokショップの導線は動画による偶発的な発見からその場での即時購入 という流れが特徴です。特にライブ配信では視聴者がリアルタイムでコメントしたり質問したりしながら購入判断できるため、まさにテレビショッピング的な熱量がそのままコンバージョンにつながります。

Instagramショッピングのユーザー購入導線

1.発見

Instagramユーザーの場合、購買の発端は主にフィード投稿やストーリーズ、リールで目にした商品タグ付きコンテンツです。例えばお気に入りのファッションブランドが新商品の写真を投稿し、その画像に「タグ」アイコンが表示されていれば、それが購入可能な商品であることを示します。

ユーザーはタグをタップして商品名や価格を確認し、興味があれば「ショップを見る」ボタンから詳細ページに進みます。Instagramではフォローしているブランドや広告で流れてくるコンテンツから商品を知るケースが多く、TikTokのように全く予期しない商品がレコメンドで現れる頻度は比較的低いです(ただしExploreページやリールで発見する場合もあります)。この点でInstagramはどちらかと言えば「興味のあるブランドの商品を探す」場面が多い と言えます。

2.検討

ユーザーが商品タグをタップすると、Instagram内で商品詳細ページが開きます。ここには商品の複数画像や説明、価格、在庫状況、そして「ウェブサイトで見る」または「購入」ボタンが表示されます。

Instagramの場合は事前にブランドのストアをフォローしていたり、投稿を見に行った上で購入を検討するケースが多く、TikTokほどの衝動買い的な要素は強くない傾向があります。

3.購入手続き

日本ではInstagramから外部サイト(自社ECサイト)へと遷移をし、そこで決済完了となります。リピーター様で会員登録がしてあり、支払い情報が登録されていると比較的シームレスにユーザーが購入完了できるようになります。またはAmazonPayなどの支払い情報が既に登録されている決済方法を導入することで、ユーザーの購入のハードルを低くすることができます。

4.購入後

購入後、ユーザーは購入した外部のECサイト(自社ECサイト)から履歴や配送状況を確認できます。ユーザーによってはInstagramのDM(ダイレクトメッセージ)で購入に関する問い合わせ等をDMで行うことも多いでしょう。企業側はそうした問い合わせ対応も含め、顧客コミュニケーションをInstagram上でも行える体制を取ることが重要です。

以上がInstagramショッピングの導線です。発見経路としてはTikTokがレコメンドドリブンなのに対し、Instagramはユーザーがフォロー・閲覧している文脈の中で商品に出会う 違いがあります。

Instagramではユーザーが事前にブランドや商品に関心を持っているケースが多く、どちらかというと「熟考型・閲覧型の購買行動」 が多い印象です。一方TikTokは「直感型・衝動型の購買行動」 が起こりやすいと言えるでしょう。

UI・UXとライブコマース/アフィリエイト機能の違い

次に、両プラットフォームのユーザーインターフェース(UI)やユーザー体験(UX)上の特徴、およびライブコマース機能やアフィリエイト支援制度の違いについて比較します。

ショップのUI/UXの違い

TikTokショップのUI/UX

キャプチャ元:TikTok イギリス版

TikTokは基本がフルスクリーン動画のタイムラインであり、ショッピング要素もこの画面上に溶け込む形です。商品のポップアップ表示や、動画左下のカートボタンなど、エンタメの流れを極力妨げないUIが追求されています。

またユーザーが意識せずとも次々と関連コンテンツが流れてくるため、「気づいたら欲しくなっていた」という購買体験が自然に発生します。これはUXの観点では発見の喜びが大きく、買い物自体がエンターテインメント化していると言えます。一方で、商品をじっくり比較検討したいユーザーにとってはTikTok上で情報量がやや不足するケースもあり、その場合は一旦「お気に入り保存」して後から確認する、あるいは別途Web検索するといった行動も見られます。

>InstagramショッピングのUI/UX

Instagramは元々画像ベースのフィードで、現在はリールなど動画も増えていますが、プロフィールにギャラリー形式のショップを構えるUIが中心です。

ユーザーはブランドのInstagramショップでカテゴリやコレクションを見て回ることができ、カタログ的に商品を一覧できます。これは伝統的なECサイトのショッピングに近い感覚で、視覚的に綺麗に並んだ商品を比較検討しやすいというメリットがあります。

一方、購入までに複数画面を遷移する必要がある点ではTikTokよりステップが多く、ある程度「買う意思を持ったユーザー」が利用するUIと言えます。またInstagram全体のデザイン美学として、洗練された写真やストーリーズでブランド世界観を伝えることが重視されており、UXも雑誌を眺めているような感覚で商品の魅力を味わえるよう工夫されています。

総じて、TikTokがカジュアルで直感的なUIなら、Instagramは洗練され整理されたUIという違いがあります。

ライブコマース機能の違い

TikTokのライブコマース

TikTokはライブ配信に注力しており、配信者がリアルタイムで商品を紹介し、視聴者が即購入できる仕組みを強力に推進しています。ライブ配信中に画面上に複数商品のリンクを表示したり、視聴者が「いいね」やコメントで盛り上がりながら購入できたりと、インタラクティブなショッピング体験を提供します。

東南アジアではこのライブコマースが大成功しており、配信のたびに完売が続出するような人気企画も珍しくありません。TikTok側もライブ配信を行う販売者に対してプロモーション枠を用意したり、ランキングで露出を増やすなどの支援をしています。ライブならではの期間限定セールや視聴者限定クーポンなども設定でき、視聴者の購買意欲を刺激します。

Instagramのライブコマース

Instagramも一時期はライブショッピングに取り組んでいましたが、2023年3月をもってInstagramライブでの商品タグ付け機能を終了しました。これはMeta社がライブコマースに対する戦略を見直した結果で、現在Instagramではライブ配信中に直接ショッピング機能を利用することはできません。ライブ配信前後にストーリーズ等で商品の告知をしたり、ライブ中にコメントで誘導するなどは可能ですが、間接的手法に留まります。

Meta(Facebook・Instagram)がライブコマースから一歩引いたのに対し、TikTokは引き続き強力に推進しているため、ライブコマースに関してはTikTokの圧倒的優位と言えます。中国や東南アジアで実証されたライブコマースの威力を背景に、TikTokは米国や欧州でもライブ機能を拡充中であり、今後日本でもライブコマースがトレンドになる可能性が高いです。

アフィリエイト支援制度の違い

TikTokのアフィリエイトプログラム

TikTokショップには、提携インフルエンサー(クリエイター)による商品販促を支援する仕組みが整っています。販売者は自社商品ごとにアフィリエイト報酬率を設定でき、TikTok上のクリエイターが自発的にその商品を動画で紹介して売れた場合にコミッションが支払われます。この仕組みにより、販売者自身のフォロワー以外にも多数のクリエイター経由で商品露出が図れます。

下記記事の成功事例で述べたMomofukuのように高額なコミッションを提示すれば何千人ものクリエイターが殺到することもあります。

TikTokアフィリエイトの強みは、誰でもプラットフォーム上で簡単に参加できる開放性と、短期間で口コミを爆発的に広げられる拡散力です。日本でもサービス開始後、このアフィリエイト機能が利用可能になれば、インフルエンサー・UGCマーケティングとECを融合させた新しい販促手法が普及するでしょう。

Instagramのアフィリエイトプログラム

Instagramもアフィリエイトを行うことが可能です。アカウントをプロアカウントにし、ASP(アフィリエイトサービスプロバイダー)に登録することで始めることができるものです。

Instagramは従来からハッシュタグ広告やアンバサダー契約などインフルエンサーマーケティングが盛んでしたが、純粋な成果報酬型の仕組みは発展途上とも言えます。もっとも、Meta社がショップ機能を強化する中でクリエイターの収益化も支援しており、Instagramアフィリエイトも今後拡充されていく可能性があります。現状ではTikTokのほうがクリエイターが参加しやすく拡散力も高いため、アフィリエイト活用による爆発的バズを狙うならTikTok、特定の有力インフルエンサーと組んで計画的に進めるならInstagram、といった使い分けになるでしょう。

コンバージョン率やマーケティング施策との相性比較

続いて、コンバージョン率(CVR)やマーケティング施策に対する効果の違いを考察します。両プラットフォームの特性上、ユーザー行動や広告戦略との相性が異なり、最終的な売上成果にも影響を与えます。

コンバージョン率(CVR)の傾向

TikTokショップとInstagramショッピングを比較する際に重要な指標の一つがコンバージョン率(閲覧者に対する購入完了者の割合)です。一般的に、購入フローが短くシームレスなほどCVRは高まりやすいとされます。その観点では購入までのフローが短いと予想されるTikTokの期待が高いといえます。ただ、ユーザーの心境やタイミング、購買モチベーションの違いがCVRに影響するとも考えられるため一概には言えません。

TikTokのCVR傾向

TikTokではエンタメ視聴中に偶発的に商品と出会うケースが多いため、ユーザーの購入意思形成が一瞬で行われる傾向があります。「面白い」「欲しいかも」と直感的に思わせ、そのまま数タップで買えてしまうため、刺さる人には一気にCVRが高まります。ただし元々購買目的で来ているわけではないので、母数となる閲覧者は多いがCVRはその分低くなるイメージです。

たとえばTikTok動画100万人再生で1万件売れればCVR1%ですが、これは大変な売上規模です。逆に興味のない人にはスルーされるので全体平均CVRで見ると数%程度に収まることもあります。重要なのは当たれば大きい点で、CVRも商品・動画次第ではズバ抜けて高い数字が出る場合があります。

InstagramのCVR傾向

Instagramでは、ある程度商品に興味を持ったユーザーが詳細ページまで見に来るケースが多いため、閲覧者の購入意欲は相対的に高いです。その分、購入完了までの導線がスムーズなら高CVRが期待できます。

ただしTikTokのような突発的バズによる爆発的CVR上昇(例えばある動画を見た人のうち半分が買ってしまう等)は起こりにくく、CVRは概ね数%に収束する傾向と考えられます。

マーケティング施策との相性

TikTokのマーケティング相性

TikTokはバイラルマーケティングやUGC拡散との相性が抜群です。ハッシュタグチャレンジや流行の音源に乗せた商品PR動画など、ユーザー参加型のキャンペーンを仕掛けやすく、それがそのまま売上につながる可能性があります。またTikTok特有のクリエイターとのコラボ(商品を試してもらうレビュー動画等)は先述のアフィリエイトと組み合わせることで非常に効率的に回ります。

さらにTikTok広告も、アルゴリズムで興味関心にマッチしたユーザーへ動画広告を配信できるため、新商品のプロモーションに適しています。広告から直接TikTok商品ページへ誘導しそのまま購入させることも可能で、エンタメ×広告×コマースが一体となったキャンペーンを展開できます。

総じて、TikTokは攻めのマーケティングで一気にブームを起こし短期間で成果を出すのに向いているプラットフォームです。ただし話題性が命でもあるため、定番商品を地道に売り続けるよりは、常に新鮮なコンテンツやキャンペーンでユーザーを惹きつける工夫が欠かせません。

Instagramのマーケティング相性

Instagramはブランド構築や既存ファンとの関係強化に強みがあります。フィードの美しい写真や統一感のあるレイアウトはブランドイメージ醸成に寄与し、その延長で商品を買ってもらう動線が作れます。広告についてもFacebook/Instagramの広告プラットフォームは成熟しており、細かなターゲティングやリターゲティングが可能です。

特にFacebookピクセルやショップデータを活用したリマーケティングでは、商品を閲覧したが購入に至っていないユーザーに対し再度広告でアプローチし購買を促すといった手法が取れます。

またInstagramショッピングではストーリーズでの商品紹介→ショップ誘導といった日常的なプロモーションもしやすく、フォロワーに向けた訴求力が高いです。まとめると、Instagramは丁寧にファンを育成しながらコンバージョンを積み上げるマーケティングに適していると言えます。派手さはなくとも安定した顧客基盤を活かし、継続購入やアップセル(関連商品の併売)にも繋げやすいでしょう。

顧客層・商品特性と成果の違い

総務省情報通信政策研究所【令和5年度】主なソーシャルメディア系サービス/アプリ等の利用率(全年代・年代別)

TikTokとInstagramではユーザー層に違いがあります。TikTokはより若年層(10〜30代前半)が中心で、流行に敏感な層が多い一方、Instagramは20代〜40代まで幅広く特に30代前後の利用率が高い傾向があります。

この違いは売れやすい商品のジャンルにも表れます。TikTokでは安価で話題性のあるコスメやガジェット、おもしろ雑貨、お菓子などがヒットしやすく、衝動買いしやすい価格帯(数千円まで)の商品が動きやすいと言われます。

対してInstagramではファッションやインテリア、コスメでもやや高品質・高価格帯のもの、あるいは育児用品や家電といった生活密着型の商品も売れています。これはInstagramのユーザーが情報収集に時間をかけ、納得して買う姿勢が強いことと関係しています。

コンバージョンの質の面でも違いがあります。TikTok経由の顧客は「その時のノリ」で買った層も一定数いるため、リピート購入やLTV(顧客生涯価値)という視点では今後のフォローが必要でしょう。Instagram経由顧客はブランドに愛着を持ってくれているケースが多く、その後も継続購入につながりやすいと考えられます。マーケターはこれらの違いを踏まえ、TikTokでは新規顧客獲得数や瞬間最大風速的な売上を重視し、Instagramでは顧客あたり購買単価やLTV向上を重視するなどKPI設定を変えて運用するのがおすすめです。

ブランド戦略・商品特性に応じたプラットフォーム活用法 ~どちらを選ぶべきか?~

ここまで比較してきたように、TikTokショップとInstagramショッピングはそれぞれ強みが異なります。最終的に「どちらを選ぶべきか」は、自社ブランドの戦略や扱う商品の特性、リソース状況によって変わってきます。以下にいくつか判断材料となる視点をまとめます。

1. ターゲット顧客の年齢層・嗜好

自社の商品・サービスのメインターゲットが10~20代のZ世代・若年層で、トレンドに敏感かつ動画プラットフォームに日常的に親しんでいるのであれば、TikTokでの展開は非常に有効です。

逆に30代以上や幅広い年代にリーチしたい場合、依然としてInstagramのユーザーベースは無視できません。特に女性向け商材ではInstagramでママ層やキャリア層に訴求する価値も高いでしょう。

したがってターゲットによって「TikTok先行」か「Instagram先行」かを決めるのが基本です。もちろん両方使うことで世代を網羅する戦略もあります。

2. ブランドイメージとコンテンツ適性

ブランドの世界観を丁寧に伝えたい、ビジュアルにこだわった訴求をしたい、といった場合はInstagramが適しています。高級ブランドやデザイン性の高い商品などは、Instagramでの映えが購買意欲につながりやすいです。

一方、TikTokは親しみやすさや面白さが重視される文化のため、カジュアルなコンテンツで勝負できるブランドに向いています。例えばコスメでもユニークな使い方を提案できる商品や、ファッションでもミックスコーデで遊べるようなブランドはTikTok向きです。

自社コンテンツ制作の社風や得意分野を考えて、「映える写真」「バズる動画」どちらに強みがあるかでプラットフォーム選定すると良いでしょう。

3. 商品価格帯・購買ハードル

前述の通り、TikTokは低~中価格帯の商品が一度に大量に売れる傾向があり、Instagramは高価格帯や専門性の高い商品でもじっくり売れる土壌があります。単価数万円を超えるような商品(高級コスメ、家電、高額サービス等)は、TikTokよりもInstagramや従来ECで丁寧に説明した方が売りやすいかもしれません。

逆に低単価で大量販売を狙う日用品や食品スナックなどはTikTokでバズらせて一気にさばくのが効果的な場合があります。

商品の単価や購買までの検討時間を考慮して、適したプラットフォームにリソースを投下しましょう。

4. マーケティング予算・リソース

両方のプラットフォームを運用するにはそれなりの人的リソースと予算が必要です。コンテンツ制作も二重に発生しますし、キャンペーン施策も別々に考える必要があります。もしリソースが限られている場合、まずはどちらか一方に集中して成功体験を作ることをおすすめします。

例えば「まずTikTokでフォロワー1万人・月商○○万円を達成し、その後Instagramにも展開」や、その逆も然りです。また広告予算配分も、TikTok広告とInstagram(Facebook)広告で効果測定しながら最適化していく必要があります。

特に中小規模のブランドは、一度にあれこれ手を広げず主戦場を見極めて集中的に攻める戦略が有効でしょう。

5. 両方活用するシナジー効果

必ずしもどちらか一方ではなく、両方を上手く連携させることで相乗効果を得る方法もあります。例えばTikTokでまずバズを起こして商品認知を広げ、興味を持ったユーザーが詳しい情報を求めてInstagramに流入し、そこでブランドの世界観を理解して購入に至る、といったカスタマージャーニーです。

必ずしもどちらか一方ではなく、両方を上手く連携させることで相乗効果を得る方法もあります。例えばTikTokでまずバズを起こして商品認知を広げ、興味を持ったユーザーが詳しい情報を求めてInstagramに流入し、そこでブランドの世界観を理解して購入に至る、といったカスタマージャーニーです。

現代の消費者は複数SNSをまたいで情報収集・購買するのが当たり前になっているため、TikTokとInstagramを補完関係で運用することも視野に入れるべきです。

TikTokショップ、Instagramショッピングどちらも自社に合った選択を

上記を踏まえ、「TikTokショップとInstagramショッピングのどちらが優れている」という絶対的な答えはありません。ただし、それぞれ得意分野や適した商材等が違うことから自社の状況と目的に合致したプラットフォームを選ぶことが重要です。

もし可能であれば両方試験的に運用してみて、データを比較しながら重点を決めるのも良いでしょう。大切なのは、いずれのプラットフォームでもユーザー視点に立った魅力的なコンテンツ提供と円滑な購買体験を実現することです。その軸さえブレなければ、どちらを選んでも必ずや成果につながるはずです。

マイナビD2CのTikTokショップ・Instagramショッピング導入支援

TikTokショップとInstagramショッピング、それぞれの特徴と違いをご説明してきました。自社に最適な戦略のイメージは湧いてきましたでしょうか。「自社商品にはどちらが合うのだろう?」「両方やってみたいが運用できるか不安」といったお悩みがありましたら、ぜひマイナビD2Cにご相談ください。

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この記事の監修・著者情報

  • マーケティングストラテジスト

    林 達彦

    アパレルD2Cの立ち上げ、SNSディレクターとして新規事業立ち上げ、SaaS営業で大手・官公庁のDXを推進。マイナビではD2C支援、マーケティング支援、物流コンサルティング、システム構築支援を実施。TikTok・Instagramを軸にクライアントのECグロースを支援し、美容ブランドのフォロワー1年で+2万人/売上大幅向上など多数実績。データドリブン×クリエイティブの融合で事業成果を最大化することを信条とする。

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