インタビュー
【お客様インタビュー】クロスフォーが新ブランド「VARIÉLLE」を立ち上げた背景【第1回】
- 更新:
- 2025年11月05日
COLUMN INDEX
「VARIÉLLE(ヴァリエル)」は、ジュエリー、アクセサリーメーカー・株式会社クロスフォーが挑戦した新たなBtoCブランドです。従来のクロスフォーは、自社ブランドを展開しつつOEM供給やパーツ販売などBtoBを軸とした事業展開で知られていました。しかし時代の変化とともに、「自社ブランドで直接エンドユーザーに価値を届けたい。お客様の声を製品開発に活かしたい」という思いが高まり、ECを中心としたD2C事業に舵を切ることになりました。
その背景にはいくつもの要因が絡み合っています。社内の世代交代、海外市場からの期待、ブランド認知の不足、さらには自社の強みを正しく外部に伝えきれていない課題感…。こうした状況を打破するために、クロスフォーはマイナビD2Cとタッグを組み、ブランド構築からECサイト、SNS・広告運用までを一気通貫で進める決断を下しました。
本記事では、その最初の一歩――「なぜ今、クロスフォーがVARIÉLLEを立ち上げるに至ったのか」を紹介いたします。
取材にご協力いただいた方:株式会社クロスフォー 後藤 育生さま
オンラインストア:VARIÉLLE(https://www.varielle.jp/)
仕事とライフどちらも楽しむ女性の多様な瞬間を祝福するジュエリーブランド。
クロスフォーとは
Q.事業内容について教えてください。
クロスフォーはジュエリー・アクセサリーの製造販売を行っています。 国内と海外でOEMやパーツ販売も行っております。
元々は石屋さんから事業を始めています。 ただの石屋のままだと価格競争や仕入れ競争になってしまい難しいため、クロスフォーのユニークなものを販売しようと考えました。 それが「クロスフォーカット」として成功し、その時のことから価格勝負ではなくオリジナリティあるものを作り、お客様に喜んでいただこうという考えがクロスフォーの土台となりました。
それから「ダンシングストーン」の開発も行い、それがメガヒットを生み出し、クロスフォーを代表する製品となりました。
BtoB依存の限界とBtoCへの挑戦
クロスフォーは長らく、独自技術「ダンシングストーン」や「クロスフォーカット」を強みに、OEM・卸先企業への供給を軸に成長してきました。しかし近年、BtoB事業の伸びには限界が見えてきます。
・営業依存モデルの限界
国内市場は横ばい、海外では一部大手クライアントへの依存度が高く、経営的なリスクを抱えていました。
・利益構造の偏り
取引マスタは数千社あるものの、活用しきれておらず、営業担当者が訪問して回るだけでは新しい成長を描きにくい状況でした。
・「売る力」の不足
クロスフォーは「作る技術」に関しては圧倒的で、独自のカット技術や揺れ続けるセッティングなど、他社には真似できないプロダクトを生み出してきました。しかし、これを市場にどう見せ、どう伝えるかという「売る力」=マーケティングの部分が大きな課題となっていました。
こうした背景から、「自分たちの手で消費者に届けるBtoC事業」に挑戦を決断したのでした。
新ブランド立上げの壁
クロスフォーでは今まで「メーカーに黒子として届ける」ことを徹底していました。今回、BtoCを強化する決断をされたきっかけと壁について後藤さまにお話いただきました。
Q.新ブランドを立上げようと思ったきっかけをお聞かせください。
マイナビD2Cが出展していた展示会に行って、お話を聞いて火が付きました。 元々ECサイトは商品を並べておくくらいで月の売上は期待していませんでした。
クロスフォーはユニークでオリジナルなものを開発してきたと申しました。 その中のダンシングストーンという製品が世に出て、それを1本柱として走ってきたんですよね。
しかし、ダンシングストーンもその製品ライフサイクル的にも成熟期であることは間違いなく、クロスフォーがユニークネスを継続していくにはそれに続くオリジナルなものを世に届けていく必要がありました。
ただ、一般的に開発というと「100あるうち1個当たればいい」みたいなことが言われていて、クロスフォーは黒子に徹して製品を作り企業に営業を行ってきたのですが、そのやり方では広まりませんでした。
一方で技術力は評価され、お客様(企業)から「こういうものを作って」と加工屋としての立ち位置にクロスフォーが変わりつつありました。 オリジナルなものを売りたいのに、そうではなくなってしまっている危機感のようなものがあってそれを打破するために新ブランド立上げをしようと思いました。 「クロスフォーはユニークネス(唯一無二)なものを提供しお客様を喜ばせるメーカー」でありたい、その原点に立ち返った結果でした。
Q.立上げにあたり社内の反対や懸念の声等はございましたか?
正直、社内の98%が反対をしていました。
今更激戦区のECに当社が参入していくメリットはあるのか、儲かるわけないじゃないか、他社も色々広告だったり苦労している話を聞いている、小売りを始めたら得意先と競合になってしまうのではないか…といった声がありました。
過去にインフルエンサーマーケティングをしてみて、思ったように効果が出なかったこともあり、社内は反対の空気が濃かったですね。

Q.多くの反対があるなか、どう皆さまを説得されたり決意されたのでしょうか?
当社の社長がDX推進の重要性を理解していたため、まずは社長に直談判をしました。
マイナビという会社とで会って気づきをもらい、チャレンジしてみたいと直訴しました。
マイナビ林さんからクロスフォーの製品であれば見せ方やマーケティングを工夫すれば更に結果が出るのではないか、どこにでもある商品を価格勝負で出す商売に変わってきていないか等気づきをもらい、一緒に資料制作やプレゼンを行い説得していきました。
海外市場からの強いシグナル
クロスフォーがVARIÉLLEを立ち上げる直接のきっかけの一つに、海外市場からの強いシグナルも挙げられます。
・国際認証「RJC」取得
クロスフォーは2025年夏、ジュエリー業界で重要な国際認証「RJC」のCOP認証を取得しました。これは海外取引で大きな信頼の証となり、「大手と取引する前提条件」になることも多い資格です。日本国内で取得している企業はごくわずかであり、この事実を海外に向けて強く打ち出したいという狙いがありました。
・展示会での反響
ニューヨーク展示会では「クロスフォーカットを独占契約させてほしい」といった申し出もあったと言います。しかしクロスフォーは独占化を断り、技術を広く展開する道を選びました。そこには、「自社ブランドで正面から世界市場に挑む」という意志が芽生えつつありました。
こうした流れを受けて、海外のステークホルダーに対して「クロスフォーはこういう会社であり、こういう価値を提供する」というブランド発信の必要性が一気に高まっていったのです。
VARIÉLLEという答え
VARIÉLLEというブランドには、「仕事とライフどちらも楽しむ女性の多様な瞬間を祝福する」というコンセプトがあります。単に商品を売るのではなく、顧客のライフスタイルや心の機微に応じて輝きを届けることを目的としています。
これは、クロスフォーが長年磨き続けてきた「作る技術」と、マイナビD2Cが提供した「広める技術」との掛け算から生まれた答えでした。

Q.VARIÉLLEを立上げようと決意した理由は「クロスフォーが今までで一番成功した原点」に立ち返ったからでした。既存のやり方でBtoBに製品が広まらないのであれば新しいやり方でBtoCに直接アプローチしていこうと舵を切られたのですね。
そうですね。それが第一で、あとは直接お客様(BtoC)と会話をしたかったんですよ。 クロスフォーの商品の感想だったり、ご希望だったりコミュニケーションを通して今までプロダクトアウトだった所をお客様の声を取り入れた開発にしていきたいと思いました。
そうしてBtoB領域とカニバらないように実績を作って、その実績で企業にもアプローチをして波及的に効果を出していきたいと思い行動しています。
まとめ
クロスフォーがVARIÉLLEをスタートさせた理由を整理すると、以下の4点に集約されます。
1. クロスフォーの原点に立ち返り、「お客様を喜ばせるメーカー」であるため
2. BtoB依存の状態から脱却し、自社ブランドで直接お客様にアプローチするため
3. 海外市場からの期待と国際認証取得を追い風にするため
4. BtoCの実績からBtoBにも新たな効果を出すため
VARIÉLLEは、クロスフォーにとって単なる新ブランドではなく、同社が次のステージに進むための象徴的な存在です。OEMや卸にとどまらず、世界のエンドユーザーに自らの価値を直接届ける。その挑戦の第一歩が、ここから始まったのです。
この記事は「株式会社クロスフォーのVARIÉLLEプロジェクトシリーズ全10回」の第1回目です。次回は「ブランディング」をテーマに、VARIÉLLEのブランドアイデンティティ構築の舞台裏を深掘りしていきます。
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